NEJSGは肺癌などの胸部疾患に対するトランスレーショナル臨床研究を行い、診断や治療の進歩に寄与することを目的としています。

がん臨床試験の利益相反ポリシー

がん臨床試験の利益相反ポリシー

ver. 2.0
2017年9月27日

がん臨床試験の利益相反ポリシーの改訂について

日本医学会 医学研究のCOIマネージメントに関するガイドラインが2017年3月に改訂され、「日本医学会COI管理ガイドライン」となった。研究機関であるNEJSGに関わる主な改訂点としては、
1)対象者のCOI管理として、研究機関に所属する会員が,過去5年以内に特定の企業・営利を目的とする団体から研究機関へ正規職員あるいは非常勤職員(例,特任教授など)として転職し,研究テーマが継続していれば,研究成果の発表に際しては現在の研究機関名だけでなく,研究内容に関係する元所属の当該企業名の双方を記載しなければならない。
2)学術雑誌論文発表者について、論文投稿時の前の年から過去3年間のCOI 自己申告書の提出を義務付ける(改訂前は過去1年間)。
3)顧問職の解釈が明確化され、申告事項1「企業や営利を目的とした団体の役員,顧問職」とは,研究機関に所属する研究者が特定企業の役員、顧問職に就任し、契約により定期的にかつ継続的に従事し報酬を受け取る場合を意味しており、相手企業からの依頼により単回でのアドバイスなどの提供は申告事項4「企業や営利を目的とした団体より,会議の出席(発表,助言など)に対し,研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当,講演料などの報酬」として申告する。
4)企業から支払われた契約研究費・寄付金の年間総額の申告から、「研究機関内で実質的に割り当てられた年間総額」に変更された。
これらを踏まえ、NEJSGにおいても利益相反ポリシーを改訂し、併せて自己申告書の記載様式も変更した。

2017年9月27日

「NEJSGにおけるがん臨床研究の利益相反に関する指針」 はじめに

特定非営利活動法人North East Japan Study Group(NEJSG)は、2004年に4地区の肺がん臨床臨床試験グループの連合体として発足し、NEJ001、NEJ002(第Ⅲ相)、NEJ003の各試験が行われた。その結果、EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌へのイレッサ治療の有用性を証明するとともに、進行非小細胞肺癌への遺伝子診断(広義のbiomarker)の重要性を示し、肺癌個別化医療の扉を開いた。
その後2010年に特定非営利活動法人(NPO)とり、そして2016年秋には8つのリージョンの共同体として全国約120施設が参加する組織となった。現在、肺がんの第Ⅲ相試験をはじめとする数多くの臨床試験を実施するとともに、新たな臨床試験企画も進めている。
NEJ臨床試験グループの活動方針は、故仁井谷久暢先生が云っておられた「biologicallyにmedicallyに行う」、すなわちバイオロジーに基づいた(biomarkerを指標としうる)臨床研究をすすめることである。NEJSGには、国内第一級のバイオロジスト、生物統計家、QOL研究家、および、臨床研究医などが在籍し、有機的に結合した組織となっており、その研究精神は多くの患者さんの利益・公に貢献することを旨とし、また、研究業績は研究者個人や施設でなく臨床試験グループ全体のものであるとの認識に立っている。
NEJSGの研究業績は講演会・シンポジウムなどの学術集会、学術誌などで発表されるが、これらの成果は産学連携によるところが少なくない。産学連携によりがん臨床試験が実施される場合、科学性、倫理性を担保に公明性をもって行われ、その成果が社会へと適切に還元されていくことが求められる。
標準的な治療法の確立のためにはがん臨床試験が必須であり、それらの成果は国民の健康・福祉の向上に大きく貢献し、社会への利益(公的)となるが、臨床試験の実施には金銭・地位・利権などの利益が組織(NEJSG)または臨床試験担当医師に発生する。これら二つの利益が衝突並びに相反する形で組織或いは研究者個人レベルで生じる状態を利益相反(conflict of interest:COI)と呼ぶ。産学連携を推進する観点からは、利益相反状態そのものは避けられないが、NEJSGの目指す目的を達成するには、組織および個人レベルでの利益相反状態を適切にマネージメントし、臨床試験を推進していくことが重要となる。企業とのかかわりの中で利益相反状態が深刻な場合、臨床試験の実施、データ解析、結果の解釈と評価が歪められる可能性が生じる。また、適切な研究成果であっても適正かつ公平に発表されないことも起こりうる。
我が国では日本医学会において、医学研究の利益相反マネージメントに関するガイドラインが率先して提示され、諸学会はもとより、臨床試験を企画実施する各団体においても医学会のガイドラインに沿った形で利益相反ポリシーが公開されている。
そこでNEJSGにおいても、所掌の事業を推進すると共に、企業との連携による適正な臨床試験の実施や発表での公明性を確保するために、がん臨床試験にかかる利益相反ポリシーを策定し、会員にその遵守を求めるものとする。

2016年12月18日

1.目的

人間を対象とするいかなる臨床研究も科学性、倫理性を担保になされることが前提であり、その精神は「ヘルシンキ宣言」や「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(文部科学省厚生労働省告示第3号、2014年)」に述べられている。基本的には、被験者の人権・生命を守り、安全に実施することに格別な配慮が求められる。
NEJSGは、その事業活動の実施において公益性と社会的な責務、生命倫理への順守が要求されていることから、「がん臨床試験の利益相反ポリシー」(以下、本ポリシーと称す)を策定する。その目的は、NEJSGが組織自身、会員および臨床試験研究代表者等の利益相反状態を適切にマネージメントすることにより、臨床試験の適切な推進やその成果の発表、それらの普及、啓発を、中立性と公明性を担保に適正に推進し、がんの予防・診断・治療・予防の進歩により国民の健康・福祉に貢献することにある。
本ポリシーはNEJSG会員に対して利益相反についての基本的な指針を示し、NEJSGが実施する臨床試験に参加する場合、利益相反状態を適切に自己申告にて開示させることにあり、利益相反状態にある者をNEJSG活動あるいは臨床試験から排除するものではない。NEJSG会員が本ポリシーを遵守することを求め、またNEJSG自体も組織としての利益相反状態を適切にマネージメントし、社会の負託に応えるものとする。

2.対象者

NEJSG事業に従事し、本ポリシーに該当する対象者
① NEJSG代表理事
② NEJSG理事、監事、
③ NEJSG各委員会の委員長および構成員、NEJSG事務局職員
④ NEJSG臨床試験実施者
  NEJSGが主幹となる臨床試験の研究代表者、企画推進委員、効果判定委員、統計解析責任者、効果安全性評価委員
  * 臨床試験の付随研究についても同様に該当する。
  * 各試験において、上記以外の名称の委員等がある場合、利益相反委員会にて対象の可否を判断する。

3.対象となる活動

NEJSGが行うすべての事業活動に対して、本ポリシーを適用する。特に、NEJSG臨床試験の実施、シンポジウム・講演会などの学術集会でのNEJSG臨床試験結果の発表、学術誌、論文、図書などでの発表を行う研究者には、本ポリシーの遵守が求められる。

4.開示すべき事項と開示方法

4.1. 開示すべき事項

① 企業や営利を目的とした団体の役員、顧問職の有無と報酬額
② 株の保有と、その株式から得られる利益
③ 企業や営利を目的とした団体から特許権使用料として支払われた報酬
④ 企業や営利を目的とした団体から、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して
  支払われた講演料・日当など
⑤ 企業や営利を目的とした団体から原稿、パンフレットなどの執筆に対して支払われた原稿料
⑥ 企業や営利を目的とした団体が提供する研究費の内、実質的に使途を決定し得る研究契約金で
  実際に割り当てられたもの(産学共同研究、受託研究、治験、その他)
⑦ 企業や営利を目的とした団体が提供する奨学(奨励)寄付金で実際に割り当てられたもの
⑧ その他の報酬(研究とは直接無関係な、旅行、贈答品など)

4.2. 開示方法

開示方法について、「2. 対象者」の ①-③のNEJSG役員・委員会委員(以下、NEJSG役員・委員という)と、④のNEJSG臨床試験実施者(以下、臨床試験実施者という)とに分けて実施する。

1)役員・委員(「2.対象者」の①②③)は就任に際して、「4.1. 開示すべき事項」の①~⑧の事項について所定の利益相反自己申告書を代表理事宛てに提出して利益相反状態を開示し理事会の承認を得なければならない
2)臨床試験実施者(「2.対象者」の④)は、臨床試験の実施等に際して、「4.1. 開示すべき事項」の①~⑧の事項について、所定の利益相反自己申告書を代表理事宛てに提出して利益相反状態を開示し、利益相反委員会の審査を受けなければならない
3)対象者は、その配偶者、一親等以内の親族、または収入・財産を共有する者における「4.1. 開示すべき事項」の①~⑧の事項で、別に定める基準を超える場合には、代表理事に申告する義務を負うものとする。
4)自己申告および申告された内容については、申告者本人が責任を持つものとする。具体的な開示・公開方法は、対象活動に応じて別途定める。

5.利益相反マネージメント

5.1. 全ての対象者について

臨床試験の実施、結果の取り扱いと公表は、倫理性を担保に論理的かつ科学的な判断、あるいは公共の利益に基づいて行われるべきである。NEJSG役員・委員会委員およびNEJSG臨床試験実施者は、NEJSGが実施する臨床試験のプロトコール作成の作業、試験結果の解釈や評価、会議・論文などへの結果発表などについて、当該の資金提供者・企業の恣意的な意図に影響されてはならず、また影響を避けられないような契約書を締結してはならない。

5.2. がん臨床試験の担当責任者について

NEJSG臨床試験の企画・計画・実施に決定権を持つ研究代表者(多施設臨床研究における各施設の責任医師は該当しない)は、下記の事項に該当しない者が選出されるべきであり、選出後も回避されなければならない。
① 臨床研究を依頼する企業の株の保有
② 臨床研究の結果から得られる製品・技術の特許料・特許権の獲得
③ 臨床研究を依頼する企業や営利を目的とした団体の役員、理事、顧問(無償の科学的な顧問は除く)
但し、上記①~③に該当する者であっても、当該試験を企画・計画・実行する上で必要不可欠な人材であり、かつ当該臨床試験が社会のニーズに応える上で極めて重要な意義をもつような場合には、定期的な報告義務、ヒアリング措置、指導、モニタリングなどを行う条件下で研究代表者に就任し、臨床試験を行うことができる。

5.3. NEJSG組織の利益相反とそのマネージメント

NEJSGは組織としての公益性とNEJSGが掲げる目的達成に向けた事業活動を推進し、社会的責務を果たすことが求められており、臨床試験の実施並びに結果の解釈および公表に関して当該企業などからの恣意的な意図にもとづく影響を一切受けてはならない。また、受託事業を行う際にも契約書などに何らかの疑惑を招くような行為並びに記載を行ってはならない。

6.実施方法

6.1. NEJSG役員・委員の利益相反と利益相反委員会の役割

NEJSG役員・委員はNEJSGの事業活動に対して重要な役割と責務を担っており、当該事業に関わる利益相反状況については、就任に際して所定の書式に従い自己申告を行なうとともに、就任期間中は年1回、利益相反委員会が指定する時期に自己申告を行う義務を負うものとする。
別に定める一定基準以上の利益相反状態が生じた場合には、利益相反委員会にて審議し、理事会に上申する。
理事会は、NEJSG役員・委員がNEJSGの事業を遂行する上で、深刻な利益相反状態が生じたと認めた場合、或いは利益相反の自己申告が不適切と認めた場合、改善措置などを指示することができる。
また、役員・委員は、それぞれが関与する事業に関して、その実施が、本ポリシーに沿ったものであることを検証し、違反する事態が生じた場合には、速やかに事態の改善策を検討する。
なお、役員・委員の任期が終了後は自己申告書を提出しなくてよい。
図1 理事・監事・各委員会委員の利益相反審査基準

6.2. 臨床試験実施者の利益相反

臨床試験実施者はNEJSG事業の一環として、臨床試験のプロトコール作成ならびに試験実施にあたり、当該臨床試験に関わる利益相反状況について所定の書式に従い自己申告を行なう。また、試験結果を公表する場合、公表者は自己の利益相反状態を適切に開示する義務を負う。
本指針に反する事態が生じた場合には利益相反委員会にて審議し、理事会に上申する。
なお、当該臨床試験が完了した後は自己申告書を提出しなくてよい。

6.3. 臨床試験企画・実施段階での利益相反委員会の役割

臨床試験実施者より代表理事に提出された臨床試験実施計画書と利益相反自己申告書は、利益相反委員会にて利益相反状態を審議し、別に定める一定基準以上の利益相反状態があれば意見書・要約書の形で代表理事に提出する。代表理事は臨床試験の実施の可否について総合的に判断し、最終決定を行う。
図2 臨床試験実施者の利益相反審査手順

6.4. 臨床試験成果の公表段階での利益相反委員会の役割

NEJSGの事業として臨床試験の成果が学会発表あるいは学術雑誌などに投稿される場合、共同発表者を含む公表者の利益相反に関して、該当する学会あるいは学術誌の規定に従う。なお、日本医学会COI管理ガイドライン(2017年3月改訂)では、学会発表、論文投稿の際に過去3年間のCOI状態を報告するよう求められているので、適宜対応すること。
利益相反委員会は、その実施が本ポリシーに沿ったものであることを検証し、本ポリシーに反する場合、代表理事は結果発表あるいは掲載を差し止めることができる。この場合、速やかに臨床試験の研究代表者、および公表予定者または当該論文投稿者に理由を付してその旨を通知する。当該論文の掲載後に本指針に反していたことが明らかになった場合は、当該刊行物などに代表理事名でその理由を公知することができる。
学会発表や論文公表等、試験結果の公表に際し、共同発表者を含む公表者の利益相反に関しては、該当する学会あるいは学術誌の規定に従い報告し、その写しを代表理事宛てに提出する。

6.5. 不服の申立

前記「6.1 NEJSG役員・委員の役割.」 - 「6.4. 臨床試験成果の公表段階での利益相反委員会の役割」の各項により改善の指示や差し止め処置を受けた者は、NEJSG代表理事に対し、不服申立をすることができる。NEJSGはこれを受理した場合、速やかに利益相反委員会において再審議し、理事会の協議を経て、その結果を不服申立者に通知する。

7.利益相反に対する対応:利益相反状態の回避、状況緩和

NEJSGの活動に影響を及ぼす重大な利益相反状態が認められた場合、利益相反委員会および理事会は利益相反状態の回避あるいは状況緩和のための方法を検討し対応する。

7.1. NEJSG役員・委員会委員の利益相反状態の回避、状況緩和

別に定める細則に従い、次の措置を取ることができる。
① NEJSG役員・委員会委員に就任できるが、該当企業・団体に関係する事項の審議には参加できない。

7.2. NEJSG臨床試験実施者の利益相反状態の回避、状況緩和

別に定める細則に従い、次の措置を取ることができる。
① NEJSG 臨床試験に参加できるが、役割実施者(研究代表者、企画推進委員、効果判定委員、統計解析責任者、効果安全性評価委員等)に就任できない。
② NEJSG臨床試験に参加できるが、学会発表・論文投稿の筆頭著者になれない。

8.NEJSG利益相反ポリシー遵守不履行者への措置と説明責任

8.1. 遵守不履行者への措置

理事会は、不正・虚偽報告等に関して審議する権限を有し、審議の結果、重大な遵守不履行に該当すると判断した場合には、その程度に応じて一定期間、NEJSG臨床試験の役割実施者への就任禁止、NEJSGからの論文発表の禁止、理事会、委員会、作業部会への参加の禁止などの措置を取ることができる。

8.2. 不服の申立

被措置者は、NEJSGに対し、不服申立をすることができる。NEJSGがこれを受理したときは、利益相反委員会において誠実に再審理を行い、理事会の協議を経て、その結果を被措置者に文書にて通知する。

8.3. 説明責任

NEJSGは、事業活動としての臨床試験の実施、結果の発表などにおいて本ポリシーの遵守に重大な違反があると判断した場合、所轄の委員会および理事会の審議を経て、社会への説明責任を果たすこととする。

9.個人情報の保管と開示

会員ならびに役員などの利益相反自己申告書は個人情報に属するものであり、それらの秘密保持を厳正に行う。紙面あるいは電子媒体での個人情報は、当該役割が終了した後3年間が経過するまでNEJSG事務局の利益相反担当部署にて鍵のかかる場所に厳重に保管され、その後削除・破棄される。
利益相反ポリシーに従ったマネージメントならびに措置を講ずる場合、利益相反委員長は、当該個人の利益相反情報を必要な限度内において随時利用できる。上記の目的に照らし開示が必要とされる者以外には開示しない。

10.細則の制定

NEJSGは本ポリシーを実際に運用するために必要な細則を制定することができる。

11.施行日および改正方法

本ポリシーは2016年12月より施行するが、社会環境や情勢の変化、産学連携に関する法令の改変などから、個々の事例によって一部に変更が必要となることが予想されることから、NEJSG利益相反委員会は必要に応じて本ポリシーの改訂を行うことができる。

2016年12月18日 version 1.0
2017年9月27日 version 2.0
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